とひぶろぐ(続)

だいたい手品日記

100冊

最近人に本を贈ったり薦めたりする機会があったので、長門有希の100冊にちなんでこんなのを作ってみました。「十角館の殺人」と「暗号解読」は両方に入っております。

読んで価値観が少なからず変わるレベルで影響を受け、何より読んで面白かった本をわりとまじめに選びました。普段なにを考えているかわかっても嬉しくないかも知れませんが、こういう本が好きです。といいつつも、オールジャンルにすると中々100冊に絞り込むのが難しいので口実を考えておいおい増やそうかと思っています。

いわゆるアフィリエイトであり最近流行のステマみたいな物ですが、色々入れたり出したりしてると元手無しでセレクトショップっぽい本屋をやっている気分になれます。

追伸:夏か秋ぐらいに手品の映像的な何かが出そうな雰囲気です。
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読書感想文「ロートケプシェン、こっちにおいで」(相沢沙呼)



ということで手品愛好家の一部にトライアンフ現象とふとももの熱狂そして右手首を掴まれる恐怖をもたらした相沢沙呼先生の名作手品女子高生ミステリ「午前零時のサンドリヨン」に引き続く第二作「ロートケプシェン、こっちにおいで」が執筆中の相沢先生の弱音ツイートの数々を見てた頃は果たして大丈夫なんであろうかと大層心配になったもののいよいよとうとう出版されたので読み終えた(挨拶)。

「犯人はヤス」とか「**と**の対応が****ない**は******」とかそういうミステリ部分についての感想はネタバレになるので読んでのお楽しみということで控えねばならぬであろうし、高校生活描写に対する感想は心の傷に触れて色々と呪いたくなるというか高校に女子高生がいるだなんてそんな迷信のようなことはよく分からないのでこれも読んでのお楽しみということで控えるとして、そういえば手品サイトだったような気がするので手品的な感想を書き残しておこうかと。決してこう言われたからではない。



今作でも実在する奇術が数多く登場する。中でも章題にもなっているOut if sight, Out of mindやDanbury Delusionについては、原案ないしオーソドックスな方法として知られているものでは不可能な、かなり不思議な現象描写になっており、再現したくなる熱を否が応でも煽られざるを得ない。ダンバリはややこしくすればどうにかなりそうだが、アウトオブサイト(どうでもいいがそういえば昔「アウトオブ眼中」という言葉回しがあった。)については「視点人物が最初から最後までちゃんと見たうえでの描写ではないから書いてある通りの現象の実現はまず無理」という作者お墨付きの高難易度に手品考える側としてはよいプロブレムとしても楽しめること請け合い。



チンカチンクの章では酉乃が一つ嘘をついている箇所があり、手品師の目で読めば見つけることができる。相沢先生に「そういうことなんですよね」と聞いてみたところ「そういうことです。」とお返事いただいたのでそういうことなんだと思う。



チロルチョコでチンカチンクやって許されるのは十八歳まで。



東大生手品師がずるい。主にその存在がずるい。大体実在するのがなおずるい。



「調理室の失われた指事件」がギリギリ。



十九波さんがポケットリングの名手とありテンヨーブースとかでディーラーの過去でもあったのかなとか思いつつ倒してみたくなる。



飯倉さんが出てこないので手品的に攻められて弱る酉乃が見れないけれどもその分安心してパームできる。



今作の特徴として読んでると十ページに一回ぐらいでキモーイと詰られ断罪される精神攻撃を受けている気分になれることが挙げられ、あれやこれやで文芸方面の人々の苦労が忍ばれる訳であるが、手品が好きで気持ち悪いと言われたことはそんなに無いのは最早言うまでもなく分かりきったことだから改めて言わないだけですか?当作とは関係ないけれどもあの日あの時あの場所であの人に手品見せて気持ち悪いと言われたのはきっとあまりにもメンタルな現象が面白さとか不思議さを通り越して気持ち悪ささえ呼び起こすほどであったという誉め言葉だったに違いないと解釈することにしている(ポジティブシンキング)。



奇術に通じていないと全ての真相にたどり着けないとかはきっと作中で探偵が最終的に提示した解決が、本当に真の解決かどうか作中では証明できないという後期クイーン問題に対する問題提起に違いない。(違う。)



前作に比べると手品のウェイトはやや落ちて、その分別の主題が取り上げられているのだけれども、ああ、そういうことを語りたい小説なのだろうなと思って読んでいたら最後にしてやられた。読み返すと周到に罠が張られていることに気がつく。



相沢先生は常日頃からアニメになって坂本真綾主演になればいいのにと語られているのにこれでは大変映像化しにく(ry



まとめ:そんなこんなで手品好きの皆は買って読めばよいと思った。
あと最後になるが八反丸さんが百合百合しくてけしからんのでもっとやれと思った。

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読書感想文「スティーブ・ジョブズ」(ウォルター・アイザックソン)

ということで話題のジョブズ伝を読了。
スティーブ・ジョブズ Iスティーブ・ジョブズ II

見習うには僕には性格の苛烈さが足らないのでそうはしないけれども、偉人だったと改めて思う。昔読んだ漫画に「おじさんはいい人なの?悪い人なの?」と聞かれて「偉大な人だ。」と返す下りがあって大変に好きなのだけれど、そんな感じ。

「リベラルアートとテクノロジーの交差点」という言葉が何度も出てくるが、余程アート寄りの人だったように思える。
プログラミングと奇術のあいだに立ちながら、英語で言うところのサイエンスとアートについてそれなりには考えることがあるので、その辺りが心に響く。

小説家は言葉で、画家は絵の具で、音楽家は音で、彫刻家は彫刻刀で、各人のアートを為すわけであるけれども、この人のアートはテクノロジーがその道具だったのだろう。だからテクノロジーが飽和気味に成熟してきたアップル復帰後の頃にこそ、よりよい腕を振るえたのではないかと、昔のよく固まって落ちるMacを今のMac OSXやiOSデバイスと比べつつ、そんなことを考えながら読んだ。

十分に発達した科学技術で魔法と見分けのつかないことをした人であろうと思う。

ピクサーの映画、奇術をモチーフにした「PRESTO」とかの短編ぐらいしか見たことが無かったけれども、今度トイ・ストーリーとかを見てみようかな、と思った。
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